見ることが苦手な子どもまたはスムーズではない子どもの教材
障害が重くて重複している子どもたちは、物音や声、音楽に耳を澄ますなどの聴覚的な反応に比べて視覚的な変化に気づいたり、それらを見て確認しようとする反応が弱い傾向があります。
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重度・重複障害児とのかかわりを考える会
障害が重くて重複している子どもたちは、物音や声、音楽に耳を澄ますなどの聴覚的な反応に比べて視覚的な変化に気づいたり、それらを見て確認しようとする反応が弱い傾向があります。
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私は、1975年5月から1995年3月まで、神奈川県横須賀市にある国立特殊教育総合研究所の重複障害教育研究部に勤務していました。この研究所は、現在は独立行政法人国立特別支援教育総合研究所になっており、組織も機能もかなり当時とは変わってきています。私は、研究所では、障がいの重い子どもの教育相談や実践研究、現職教員の研修などに携わっていました。また、障がいの重い子どもが学校教育終了後に通える場所「コミュニケーションルームこどものへや」を創る保護者の活動にもかかわりました。
上村勇一郎先生は、1年間の長期研修のために研究所に来られた現職教員の一人です。研修中は、全盲で肢体不自由・知的障がいともに重度のHさん(小学部2年生)に定期的にかかわられました。東京にある肢体不自由児通園施設の外来、Hさんが通う養護学校、そして家庭の3箇所を訪問してHさんにかかわられました。
私は、1995年4月からは群馬大学教育学部の障害児教育講座に移り、教員養成と実践研究に携わりました。また、社会福祉法人あいの立ち上げと運営にもかかわりました。群馬大学定年退職後の2011年4月からは高崎健康福祉大学に移り、短期大学部児童福祉学科を4年制の人間発達学部子ども教育学科に改組することにかかわりました。人間発達学部では、教員の養成と実践研究そして学部の運営に携わりました。2015年に学生サークル「キッズサポートひまわり」(障がいのある幼児、児童、生徒を対象に、遊びを中心にした活動を定期的に行う)が発足し、保護者の相談は私が担当しました。その他、特別支援学校の研修会や肢体不自由児通園施設の研修会などにもかかわりました。
2019年3月に高崎健康福祉大学を退職し、4月に神奈川県三浦市に戻りました。7月からは社会福祉法人みなと舎のボランティアを始め、2020年9月からは「かかわり相談」に携わっています。
(まほろばサークル協力者 松田直 元群馬大学教授・高崎健康福祉大学教授)
H児の事例から「ねたまま」の状態にある重度・重複障害児の教育を考えた場合、以下のことが具体的に重要なポイントとなるのではないだろうか。
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皆さんは植物を育てるのは好きですか?
私は育てるのが好きなのですが、
「難しいなぁ」と思うことがよくあります。
例えば野菜を例にとってみると・・・
放置しておくと必ず枯れますので、当然水や肥料をあげて世話をします。
でもそのタイミングが難しいのです。
動物、例えば犬ならば吠えることによって「おなかが減った」「水がほしい」など、
分かりやすく飼い主に訴えてきます。
しかし植物は何も言わない(言えない?)のです。
そこで枯れないように、こちらが判断して灌水などするのですが、
やり過ぎても根腐れをおこして枯れてしまいます。
野菜によって水の量や回数が違い、またそのときの気温や日当たり具合によっても変わってきます。
ときには害虫が発生したり病気になって枯れたりすることもあります。
どう対応してよいか分からないときは、
育て方の本を読んだり育て方に精通している人に聞いたりしますが、
それでもうまくいかないときもあります。
いかに野菜の状態をとらえて、的確に判断し対応するか?
つまり、野菜の気持ちを読み取る力が求められているのです。
まるで母親が赤ちゃんを育てるのと同じように「深い愛情」が必要なのです。
雑草のように完全に自然界で生きている植物と違って、我々が育てなければいけません。
その代わり、野菜の気持ちや願いに十分応えられたら、立派な葉や実を見せてくれ、
まるでありがとうとお礼を言っているように思えます。
これが収穫なのです。
教育も同じではないでしょうか?
言葉でやりとりができるときは、受け答えでお互いに意思の疎通がはかれます。
障害が重度のために言葉としてはしゃべったり理解できなかったりする場合でも、
こちらが一方的に判断しないで、相手を理解するかかわりが大切なのです。
しっかり子どもを見て、触れて、それでも判断しにくいときは、
このホームページの内容を参考にしながら子どもとかかわってみましょう。
このホームページが子どもたちの成長のために、かかわり手のヒントとなることを願います。
(まほろばサークル 上村 勇一郎)
【はじめに】
家庭においては寝返りをして居間と台所のスペースなどを行き来し、お気に入りの空間やお気に入りのおもちゃに触れて遊ぶような能力がある子どもが、学校で床に顔を伏せて動こうとしないという実態を示していました。無理にかかわると自傷行為を示すことがありました。また、好きなものを見せながら移動を誘導するようなかかわりを教員は試みますが、多くはうまくいきません。
筆者は、日常生活でじっくり子どもの様子を観察しながら、やりとりの糸口を見つけ、事例児に探索活動(自分が居る空間の様子を自分で動きながら、確かめ、探り、自分自身の安定を図る活動)を促していきました。
まず、学校の活動拠点である教室が、本児にとってよくわかっている空間になるように、気に入っている玩具や、自分の持ち物(水筒、着替え、給食袋)がどこにあるのか、玩具を並べる台とかごを用いて、決まった場所(子どもが少しの寝返りで手が届く位置)に配置するようにしました。その結果、教室内では子どもが少しの寝返りで好きな玩具の所まで移動したり、教員にかかわりを求める様子が見られるようになりました。
次に、広い空間においては、車椅子や座位保持椅子での移動の際に、事例児の自発的な動きである視線を向ける行動や、転がしたボールの行方を見る行動に合わせたやりとりを試み探索活動を促しました。すると、行きたい方向に視線を向けたり、ボールを転がしたりしながら、周囲の様子を自分から確認しようとする行動へ発展していきました。
筆者は取り組みを通して、寝返りなど多少の移動はできてもよくわからない状況において顔を伏せてしまうようなタイプの子どもとのかかわりを広げていく視点を以下のように整理しました。
かかわりにおいては、まず教材や内容が先行するのではなくコミュニケーションが優先されるべきであり、いかにやりとりを展開していくのかを学校生活の中でかかわりのあり様を考察し、よくわかる生活空間の整備とかかわり方を子どもに合わせて調整していくことが重要な視点でした。
自由な移動が困難でかつ空間の様子が把握しにくい状況では、子どもの自発的な動きにかかわり手が注目することが必要で、その行動を基に探索活動へつなげていくことが大切な視点となることがわかりました。
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